リスクに備える保険 会社はいろいろなリスクを抱えています。資産に被る損害、営業活動に被る損害、心身に被る損害、他者に対する損害賠償責任等、様々です。これらのリスクが会社経営を脅かすことのないように、それに備えて保険に加入しておくという選択肢があると思います。代表的なリスクとその対象となる保険は、皆様もすでにご加入なさっておられると思いますが、次のようなものがあります。
1.火災保険 新潟でまた大きな地震が起きてしまいましたが、地震保険には入っていらっしゃいますか?
火災保険も、ただの火災保険ではなく、居宅であれば住宅総合保険、事務所や店舗であれば店舗総合保険に加入することで、風水害や水漏れの損害も補償されます。
価額協定保険特約は付けていらっしゃいますか?
建物は時の経過とともに、その価値が低下します。
万が一のときに、その火災保険で新しい建物が再建できますか?
ちなみに、マイホームの地震保険が平成19年分の所得税から所得控除の対象になります。今年の年末調整、来年春の確定申告のときには注意してください。所得控除額の上限は5万円です。
2.施設賠償責任保険 アパート、マンション経営をなさっておられるオーナーさんや、飲食店・サービス業など広く施設を使って事業を行っている会社が対象となります。
給排水の配管からの水漏れや、看板の落下による通行人にけがを負わせてしまったとき、従業員の不注意でお客様にけがを負わせてしまったときなどの損害賠償責任が生じたときのための保険です。
3.製造物責任保険(PL保険) 製造物責任保険の存在はだいぶ周知されてきたと思います。自社の作った製品や販売した商品、提供したサービスが原因でユーザーに人的、物的損害を与えてしまった場合に、補償される保険です。
事故例としては、給排水設備工事業での配管を中心とした取り付け不良による水漏れによる損害、自動車整備業での修理ミスによる修理箇所以外の破損・発火・走行障害等、請負業での施工ミス・工事ミスによる損害賠償事案が多く見受けられます。その他にも食中毒事故、異物混入による消費者の傷害事故など多岐わたって様々な形態の事後が発生しています。
4.生命保険 役員や従業員に万が一のことがあったときのために生命保険に加入しておられる会社は多いと思います。必要な保障額をどのように準備するのか、保険の種類によって、同額でも、保険金額には数倍の違いがあります。会社の資金事情に応じた保険の設計が必要なゆえんです。
昨年起業された社長様は、ご自分に万が一のことがあったら債権者や社員に迷惑をかけることになってしまうからと、保険加入のお申し出をいただきました。47歳タバコを吸わない社長さん(男性)ですので、1億円の保険に加入されても保険料は月額26,400円です。
リスクを管理する リスクに対してどう向き合うのか。その対処の仕方によって、会社の未来は大きく変わってきます。
ところで、
日本人はリスクに備えるというのが苦手だとは思いませんか。ましてや、リスクを管理するとか、コントロールするというと、及び腰になってしまいます。
しかし、「損害を被るという受動的なものではなく、会社が抱えるリスクを想定して、積極的にコントロールしてやろう。」と考えると、リスクを“会社が成長するための課題”と捉えることができるようになります。
リスク管理はまさに経営そのものなのです。
商品を仕入れても、それが100%売れるという保証はありません。売れ残りのリスクを抱えて仕入れをしているのです。製造もしかりです。在庫を抱えない会社であっても、代金回収というリスクがあります。有能な従業員の退職というリスクもあります。
現実に抱えている顕在化されたリスクのほかにも、会社は潜在的な様々なリスクを抱えています。会社自体が気づいていないリスクもあります。
自社の5年後のありたい姿を思い描き、「“ありたい姿”を達成するためには・・・。」と考えると課題(リスク)が見えてきます。ありたい姿と現状とのギャップをリスク(課題)と捉え、経営目標の達成のためにその課題(リスク)をマネジメントするのです。損失発生の恐れ(リスク)を最大限排除して、利益を確保するのです。
リスクをすべてコントロールできればよいのですが、そういうわけにはいかないことは周知の事実です。そこにリスクヘッジの必要性があり、そのリスクヘッジの一つに保険があると思います。
経営計画は未来から逆算して
これまでの経営計画は、過去からの計算でした。過去の経営実績数値から「対前年比○%」という方法で作成されてきました。
過去の成功体験が役に立たなくなっていると言われているのに、その過去数値を基として将来の経営計画を作成してきたわけです。これまでの会社の延長線上で会社の未来を考えていたわけです。
過去の数字は現実のものとして突きつけられた変えようのないものです。その過去の数字を基にして経営計画を作成しても、どうしても「そんなことを言っても、現実は・・・。」となって、発想が広がらないのです。現状に縛られた思考になってしまうのです。そういう思考で経営計画を作成しても、発展性も面白味もあまり感じられないことでしょう。
それに対して、未来の会社のありたい姿から逆算して経営計画を作成する作業は、作成過程も楽しいですし、経営計画の中身も全く違ったものとなります。発想が広がり、行動計画が具体的にイメージされます。経営計画が活き活きとした行動計画になります。
「5年後こういう会社になっていたい!」
その未来の会社の姿を想い描き、そういう会社になるために、今何をしなければならないかという視点に立って経営計画を作成するのです。経営計画の作成作業がとても楽しい夢のある作業になります。
将来のなりたい会社の姿から、そういう会社になるために今何をなすべきかを考え、そのための課題を抽出し、それを解決するための方法を考え(PLAN)、実践し(DO)、その結果を検証する(SEE)。この(PLAN)→(DO)→(SEE)を繰り返しやり続けていれば、必ず結果が出てくるはずです。その中から自社の勝ちパターンを作るのです。
「○○すれば、××となるのではないか。」
という仮説を立て、実践してみるのです。仮説通りになることもあれば、全くはずれることもあると思いますが、計画を立てるときには、仮説を立てることがとても有効です。それは具体的行動に結びつき、実践されるからです。その実践の中で、仮説は真説になり、効果が実感できます。効果が実感できると、ますます面白くなってきます。成功サイクルが回り始めるのです。
posted by 小出 絹恵 at 16:25
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事業計画・事業承継
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