お客様が不動産を購入することになりました。
「良かったですねぇ。苦労した甲斐がありましたね」
と喜んだのですが、資金の手当てのことをお聞きしたら、
土地は会社で買って、その上に社長が個人で建物を建てる、
というのです。
「それって、逆にできないのですか?」と社長に尋ねたのですが、
「この方法でないと、銀行が貸してくれないというので、
仕方がないのです」と社長がおっしゃいます。
社長と会社との間でよくあるパターンは、社長個人の土地に、会社が建物を建てるというものです。
この場合であれば、土地を借りている会社が社長に地代を払わないこと(使用貸借)も可能です。
しかし、今回は、その逆で、会社所有の土地に社長個人が建物を建てるというのです。
この場合には、社長は会社に対して地代を払わなければなりません。
それも、借地権の認定課税という事態を避けるために、
相当多額の地代を支払うことになります。
税務署から課税されないための「相当な地代」というと、
- その年の路線価で計算した相続税評価額
- 過去3年間の路線価を基に計算した相続税評価額の平均額
上記@かAのいずれかの金額の年6%相当額ということになります。
今回土地が広いものですから、
400,000×400u=160,000,000円
160,000,000×6%=9,600,000円(年間の相当地代)
月額にして80万円の地代になります。
私は、社長に電話をして、
「社長、建物を建てるときの建築確認申請なのですが、敷地全部を対象にしないで、建物が建つ必要最小限の面積で建築確認申請書類を作成してもらうように、建築士さんに話してください」とお願いしました。
すると、1時間ほどして、
「先生、先ほどのお話ですが、今建築士さんが会社に来ているのですが、私からでは上手く話せなかったので、先生から直接話していただけませんか」と電話がかかってきました。
直接建築士さんと話せて、私の意図が正確に伝わって良かったと思うと同時に、「今日は、建築士さんが来る日だったの?!」と、その偶然に驚きました。
さて、出来上がった図面を見てみないとはっきりしませんが、これで少なくとも、地代が半分以下、場合によれば1/3位にできるのではないかと思います。これで、税負担も軽減され、資金繰りも立てやすくなったと思います。