2009年09月30日

書面添付をすると税務調査が省略されることもあるって本当?! 10月号

Q1“書面添付”って何ですか?
  
A1.税理士が、皆さまの会社の税務申告書を
作成して税務署に提出するときに、申告書に
“ある書面”を添付することを言います。

この書面というのは、税理士法第33条の2に
規定する書面で、税理士が税務申告書を作成
するときに、「計算し整理し、相談に応じた
事項」について記載することになっているものです。

通常の税務調査は、税務署から事前に電話が
あって、調査の日時、場所の調整がされますが、

書面添付がされている申告書の場合には、
税務署は、会社への税務調査に先立って、
まず書面添付をした税理士に対して意見聴取を
行なわなければならないことになっているのです。

この書面添付と意見聴取とをセットにして、
新書面添付制度と言っています。

Q2.税務調査がなくなることもあるって本当?!

書面添付をしたからと言って、必ずしも
税務調査が省略されるというものではありません。

上記のように、書面添付がされている申告書に
対する税務調査は、会社への実地調査に先立って、
税理士から意見を聴くことになっているので、
その税理士に対する意見聴取の結果、疑義が
晴れれば、結果として会社への税務調査が無くなる
こともあるということです。

ちなみに、意見聴取の結果、税務調査が省略された率は
17.18.19年度平均で3割強となっています。

今年の7月10日から意見聴取の結果、
調査が省略された場合には、
「意見聴取結果についてのお知らせ」
(いわゆる調査省略通知)が発行されるようになりました。

Q3.具体的にはどう書くのですか?

 具体的にどう書くかというと、

まず、税理士が作成した帳簿の種類を書きます。

それと、その帳簿を作成するために、
税理士が確認した書類
(現金出納帳、預金通帳、会計伝票、
当座預金照合表、領収証綴、請求書、
請求書控、売掛買掛集計表、棚卸表等)や

会社から提示を受けた書類
(残高証明書、各種契約書、議事録等)を記載します。

さらに、主要な勘定科目について、
どのような方法で確認してどう整理し
計上したのかについて記載します。

 例えば、

「売上高は毎月売掛集計表と預金通帳にて確認している。
値引き、相殺や振込手数料の起票も誤りがあれば、
その都度訂正していただき、期末には、翌期首の
請求書控えも確認して、〆後の請求分も含めて
適正に売上に計上されていることを確認した。」

「役員報酬については、期首2ヶ月目より
前期比で月額10万円増額されているが、
定時株主総会で決議され、期末まで変更が
ないことを確認し、定期同額給与金額である
ことを確認した。」

「修繕費については、月次の確認のほかに、
決算にて資本的支出等、資産に計上すべき
ものの有無を再度確認した。」

という具合です。

上記はほんの一例ですが、書面添付を見た
金融機関の方は、
「これ大変ですね。この書類を書くためには、
よほど税理士さんがしっかりと会社のことを
把握していなければ書けないと思いますよ。」

との感想をいただきます。

書面添付がされていると、
融資の金利を下げてくれる金融機関もあります。

 見たことないけれど・・・???

「“書面添付?”初めて聞きました。」

という方も少なくないのではないかと思います。

それというのも、書面添付をされている申告書は
平成17年4.9%、
18年5.4%、
19年5.7%でしかありません。

ですから、皆さまが目にしていないのも当然なのです。

しかし、今年からちょっと事情が変わります。

国税局と日本税理士会連合会とが合意して、
新書面添付制度を積極的に活用していくことに
なったのです。

税務調査が変わるかもしれません。
posted by 小出 絹恵 at 10:17 | 事業計画・事業承継 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする 記事編集
●執筆時の税法を基に記載しております。実際の実施にあたっては、税理士等の専門家にご相談ください。
この記事を書いた税理士の小出絹恵です。
税理士 小出絹恵税理士・行政書士・円満相続遺言支援士  小出 絹恵

TEL:03−5486−9686

幼い頃、往診に来て下さったお医者さま
女医さんでした)の顔を見ただけで、
安心して病気が治ったような
そんな体験が懐かしく思い出されます。
私は皆様のそういう主治医になれたらと願っています。